2004年4月に施行された水道水質基準の改正により、水道原水から検出される可能性のある農薬類101成分は水質基準から水質管理目標設定項目(以下、管理項目)に変更されました。それに伴い地域の農薬実態等を考慮して、事業体が測定する農薬を選択する総農薬方式により評価を行うことになっています。
しかしながら、実際には害虫の耐性獲得防止を目的とした散布農薬の変更や、管理項目以外の農薬の使用、さらには事故・事件等の緊急時対応といった、イレギュラーなケースにおける管理項目以外の農薬・化学物質への対応が必要とされています。
そこで、近年GCMSの各メーカーで採用されているSIMモードとScanモードを同時に測定できる機能と、標準物質を用いることなく農薬・化学物質の検出と定量が可能な手法であるキャリブレーションロッキングデータベース法(以下 CLD法)を組み合わせた水道向けメソッド・データベースパッケージを開発しました。
本パッケージを用いることで、SIMモードによる管理項目の高感度かつ正確な定量分析と、 Scanモードによる500種類の農薬を対象とした標準物質を使用しないCLD法による測定が実現します。
NAGINATAでは、これまでSCANデータのみを対象としていましたが、SIMデータも取り扱えるように拡張しました。これにより、対象となる化合物群の中で特定の成分をより高感度に測定できるなど、その応用範囲が広がりました。
現在水道水では、約100農薬に目標値が設定されていますが、そのうち80成分あまりをGC/MSで測定可能です。水道版NAGINATAでは、これらの成分について測定メソッドにSIMテーブルを追加し、SIM/SCAN同時取り込みと組み合わせることにより、これまでのNAGINATA測定のメリットを維持しながら、SIMを設定した成分に関しては目標値の1/100程度までの検出を可能としました*。
また、本メソッド作成に際して、フェンチオン関連化合物であるフェンチオンスルホキシド、フェンチオンスルホン、フェンチオンオキソン、フェンチオンオキソンスルホキシド、およびフェンチオンオキソンスルホンの5成分を新たにデータベースに追加しました。