高速液体クロマトグラフシステムは、主に移動相を送液するためのポンプ、試料を導入するためのインジェクタ、成分を分離するためのカラム、成分を検出するための検出器、 クロマトグラムを記録、解析するためのデータ処理装置から構成されます。
ポンプ
送液ポンプにはプランジャー型、シリンジ型、ガス圧型などがありますが、プランジャー型が最も一般的です。移動相をポンプで試料注入口を通して分離カラムに供給します。この時、ポンプから生じる脈流を抑えるため、ダンパーをポンプと圧力計の間に入れ、脈流をより抑えて送液を安定化することがなされます。また試料の分離を改善する為に移動相の組成を時間で変化させるグラジェント法なども使用されます。
分析精度を向上させるためには、より流量精度、混合精度(グラジエントの場合)の高いポンプを選択する必要があります。また、移動相中の溶存ガスは流量精度を悪化させるので、ポンプの前段にデガッサを接続し、脱気することが一般的に行われています。
ベースラインノイズを低減させるためには、より低脈流なポンプを選択する必要があります。
インジェクタ
シリンジを用いて溶液試料を注入する方法や、系内に組み込まれたループインジェクタ-のループ内に試料溶液を満たし流路を切り替えて導入する方法のいずれかが用いられます。
いずれにせよ、注入量の精度が分析精度に直結します。
カラム
カラムの役割、選択の仕方については前章を参照して下さい。
分配やイオン交換クロマトグラフィーでは温度の影響を大きく受けます。一般的にはカラム温度が上がればカラム効率が高くなります。そのため分離度を高くするため、カラム恒温槽を使用することが望まれます。
検出器
HPLCではカラムで分離した試料の組成変化を、光の吸収や屈折率の変化、電気化学的な現象などを利用して測定しています。
HPLCで主に用いられる検出器としては、以下にあげられるものがあります。また電気化学検出器、エバポレイティブ光散乱検出器(ELSD)などもあります。
紫外可視吸光検出器 (VWD、DAD)
有機化合物一般に用いられ、紫外可視吸収のある化合物が対象となります。測定波長固定のもの、全波長のスペクトルを測定できるもの(フォトダイオードアレイなどを利用)があります。適用範囲が広いため、HPLC用検出器として最も広く利用されています。
蛍光検出器 (FLD)
多環芳香族など蛍光性のある化合物が対象となります。蛍光性のある成分には高感度で選択的に検出する事ができます。
示差屈折率検出器 (RID)
移動相の溶媒と異なる屈折率を持つ全ての試料成分が対象となり広範囲な化合物に適応できます。しかし移動相の温度変化や組成変動には著しく敏感であり、紫外可視吸光検出器ほど感度は高くありません。
データ処理装置
検出器から出力された信号はコンピュータ、インテグレータ等により記録、解析を行います。